Drupalはとっても面白そうだからちょっと勉強してみようと決心しても、どこにどういう風にインストールすればいいのかと戸惑う人は少なくないだろう。


自分が自由にいじくれるサーバー環境にApache, PHP, MySQLがインストールしてあれば
https://drupal.studio-umi.jp/blog/Drupal-8-tutorial-installation
に公開されているスタジオ・ウミさんの詳しい解説ページを参考に、さほど問題もなくインストール出来るはずである。


そこで、ここではDrupalの必須環境も含めて、なるべく時間とコストをかけずに簡単に構築して勉強を始める方法についていくつか参考になる情報を整理してみた。


1) Acquia(https://www.acquia.com/downloads)

MacまたはWindowsのデスクトップ用のインストーラが無償でダウンロード可能で簡単にDrupal環境が手に入る(ただし現時点ではDrupal7の環境)。アプリは結構高機能で複数のサイトを構築して管理できる。

また、別途開発したサイトの公開用のAcquia Cloudサービスも提供されており、デスクトップでの開発からサーバ公開へのシームレスな環境が提供される。しかしこのCloudサービスはやや高価でミニマムな構成でも技術サポート料を含めて$100/月以上の費用が発生するので、個人レベルではちょっと二の足を踏んでしまうだろう。
しかしなんと言ってもDrupalに特化した製品・サービスなので安心はできる。


2) Bitnami(https://bitnami.com/stacks )

オープンソースの多様なスタックを提供している会社である。 Drupal スタックのページhttps://bitnami.com/stack/drupal を見ると分かるように、各OS向けのインストーラ、インストール済みVMイメージ、Docker コンテナ、AWSを始めとする各種クラウドサービス向けのスタックなどなど実に多種多様な環境向けにスタックが提供されている。これだけあれば自分の好みのものが見つかるはずだ。すでにDrupal向けのサーバー環境のある人も既存のシステムに影響のない形でのテスト環境が手に入るであろう。

ちなみにここのデスクトップ環境はすでにDrupal8になっている。さらにAcquiaのアプリに比べると簡単にdrush, Git, PHPMyAdminも同時にインストール出来るところなどは便利であるが、複数サイトの構築には簡単に対応できないようである。

独自のクラウドサービスはないが、AWS用の開発用のスタックは無償提供のようなので、すでにAWSのアカウントを持っている人は追加インスタンスだけでサイトが公開できるはずである。恐らく他のクラウド用のスタックも無償であろう。


3) Pantheon(https://pantheon.io/

DrupalとWordPressに特化したクラウドサービスが提供されている。すでにDrupal8対応済みで無料のアカウントで2つまでサイトを保存できる。日本語の言語環境もインストール時に選択できる。さらに無料アカウントでもGitリポジトリ付きであり、開発=>テスト=>本番公開のステージング機能もありチーム開発にも利用できる。有償のサービスも$25/月からあるので、1)のAcquiaよりは敷居が低い。


4) Digital Ocean(https://www.digitalocean.com/ )

AWSよりは手軽なわかりやすい価格体系のクラウドサービスとして人気があるサイトである。

Dropletという名前のVMイメージを構築する段階でOSやサーバースペックを選択でき、加えてOne-Click Appsの中から各種のアプリを選択しVMにインストールができる。Appsには今のところDrupal 7があるだけでDrupal 8はない。1)から3)のサービスと比べればDrupalに特化していないので、その分手間はかかるかもしれないが、$10/月程度の料金で1GBのメモリーと30GBのストレージが確保でき、グローバルIPも取得できるので、単なるテストでなくうまくいけば一般公開するつもりであれば良い選択肢かもしれない。
なお同様のサービスは他にもいくつかあって、例えばlinode(https://www.linode.com/ )ではやはり各種アプリ導入用のスクリプトが提供されているようであるが、調査し切れていない。


5) Cloud9(https://c9.io/ )

Cloudベースの開発環境とIDEも色々とある。私はCloud9を使っているが、結構人気のあるサービスのようである。無料でも512MBメモリーと1GBのストレージを持つワークスペース1つが利用できる。

$9/月の料金では1GB+10GBになり、パブリックな512MB+1GBのワークスペースは無制限となる。

ワークスペースのテンプレートにはWordPressはあるが残念ながらDrupalはない。しかしいわゆるAMP環境のテンプレートはあるので、drupalのインストールは容易である。

IDEの機能が結構充実しているし、GitHubやBitbucketとの連携も容易なのでDrupalの学習環境としては非常にコストパフォーマンスが良いと思う。


開発環境の構築はおおむねこれらのどれかの中から選べるはずだが、Drupalは多機能で奥が深いCMSなので系統立てて学ぶのがなかなか難しい。本屋にもWordPressの本は山積みであるが、Drupalの本は少ない。


個人的には本ではなく、Webベースのチュートリアルかe-Learningの方が理解が深まると思うのだが、いずれにしても残念ながら日本語の教材は少ない。


以下の情報は全て英語ベースであるが、まずビデオ教材は、

などに比較的多数のDrupal教材がある。特にOSTrainingはCMSに特化した感じでWordPressとDrupalについては初級から上級まで教材が豊富である。まだまだ数多くオンライン講座のサイトはあるが、サイトによってはDrupal教材が殆どないところもあり要注意である。逆に少々受講料は高いがBuildAModule(http://buildamodule.com/ )のように完全にDrupal専門のサイトもあるので、本腰を入れて取り組むならば最適であろう。